蓮舫さんの東京都知事選挙の出馬表明に関連して、本人の6月上旬の政治活動が、告示日前の選挙運動にあたり、公職選挙法違反の疑いではないかと話題になっています。
この議論は、蓮舫さんの政治的活動に対する注目が高まっている中で、様々な意見や見解が交錯しています。しかし、真実を明らかにするためには、今回に関係する公職選挙法について正しく理解することが不可欠です。
この記事では、話題となっている蓮舫さんの活動とそもそもの選挙運動とは?に焦点をあて、現在の議論の背景や主なポイントを探ります。
具体的には、どのような法的規定が適用されるのか、蓮舫さんの行動がそれらに違反するかどうか、そして議論の中で浮上している様々な立場や意見について研究します。
まずは公職選挙法違反で知っておきたいポイント
「公職選挙法違反」の理解を深めるためにはいくつかの重要なキーワードをまとめました。ここでは、公職選挙法違反に関連するいくつかのキーワードを紹介し、その意味や法的背景について解説します。
1)告示日(こくじび)とは選挙のスタートの日。公示日(こうじび)とは選挙の種類でわけられています。
告示日とは、選挙の告示が行われる日のことを指します。選挙告示は、候補者が選挙に出馬する意思を公にするための手続きであり、告示日はその告示が行われる日です。要は選挙運動を法的に開始していいスタートの日と捉えてください。
告示日というのは、該当する選挙の事務を管理する選挙管理委員会が、官報・公報等に掲載する方法で行われます。衆議院や参議院の選挙であっても、全国規模で行われない補欠選挙や再選挙の場合は、選挙管理委員会が告示します。東京都知事選挙では東京都選挙管理委員会がその担当になります。
同様に選挙を告知するものとして「公示日」(こうじび)があります。「公示」という意味は天皇の国事行為として日本国憲法に定められており、官報に天皇の詔書が掲載されます。その公示ですが、公示日は、告示日と同じく選挙が行われることを広く一般に知らせる日のことを意味し、次のように使い分けられます。
- 告示日:衆議院・参議院の補欠選挙、都道府県の知事・議員選挙、市区町村の長・議員選挙の告示をする日
- 公示日:衆議院の総選挙、参議院の総選挙の公示をする日
今回の都知事選は「告示」にあたり、2024年6月20日が告示日となります。
2)出馬表明(しゅつばひょうめい):出馬表明したからといって選挙運動をしていいわけではない
出馬表明(しゅつばひょうめい)とは、政治家や候補者が選挙に立候補する意思を公に表明することを指します。この表明は、その立候補予定者の選挙活動の始まりを意味し、選挙戦への参入を示すものです。出馬表明は、記者会見や公式声明、メディアを通じた発表など様々な形で行われます。
ここで注意したいのが、立候補の手続きをし告示日以降で正式に立候補者として告示されたことによって、候補者は選挙運動を開始することができます。それから告示日から投開票日までの前日までが選挙運動期間となり、立候補が有権者に自分たちの政策・公約の意図や目標を伝える重要な機会となります。
繰り返しになりますが、立候補とは選挙管理委員会を通して、正式な手続きが必要です。出馬は、あくまでも表明であり、選挙においては、正式には手続きを踏んだ立候補が必要ということです。
メディアやニュースで、「○○氏が知事選への出馬を表明した」という表現を耳にすることがありますが、この表現はあくまでも候補者が自らの意向を公に示したことを指し、これ単体では正式な立候補を意味しません。。
今回でいえば東京都知事選挙について出馬表明している人は20人以上おり、混戦が予想されています。また現職の小池百合子都知事が出馬表明するのかについても、注目されています。
3)東京都知事選(2024年)の告示日・投開票日はいつ?
2024年7月の東京都知事選挙の日程は下記の通りです。20日に告示され、投開票日の前日7月6日までのおよそ17日間が熱い選挙の戦いとなります。
告示日 | 6月20日(木) |
---|---|
投開票日 | 7月7日 (日) |
任期満了日 | 7月30日(火) |
4)公職選挙法とは?
「公職選挙法(こうしょくせんきょほう)」とは、国会議員、地方公共団体の議会の議員、首長などを選ぶための公職選挙に関する法律です。
具体的には、公職選挙法には、選挙の実施方法、投票する権利と義務、立候補するための資格、選挙運動のルールなどが詳しく書かれています。簡単に言えば、「選挙はこうやって行いましょう」「選挙ではこういう行為は禁止されています」といった内容が含まれています。公職選挙法は、まさに『選挙のルールブック』と言えるものです。
公職選挙法を違反した場合、違反の内容や程度に応じて様々な罰則が科されます。具体的には、罰金や懲役・禁錮といった刑事罰、公民権の停止、立候補の取り消しや当選無効などが適用されることがあります。
例えば、選挙運動中の買収や贈賄、不正な投票、虚偽の広告や宣伝などの行為が公職選挙法の違反対象となります。
公職選挙法についての簡単な解説はは、下記、公務員総研の記事を参照ください。
公職選挙法違反の罰則は?→1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金
公職選挙法違反に対する罰則は、違反の程度や内容によって異なりますが、一般的には以下のような処罰が規定されています。
選挙運動は、選挙の公示・告示日から選挙期日の前日までしかすることができません(公職選挙法第129条)。 違反した者は、1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処することとされており(公職選挙法第239条第1項第1号)、選挙権及び被選挙権が停止されます(公職選挙法第252条第1項・第2項)。
出典)総務省
罰金(ばっきん)
違反行為に対して、一定額の罰金が科されることがあります。罰金の金額は違反の種類や重さに応じて決定されます。
懲役・禁錮(ちょうえき・きんこ)
選挙法違反が重大な場合、懲役や禁錮といった刑事的な処罰が科されることがあります。これは、買収や贈収賄などの深刻な違反行為に対して適用されることが一般的です。
公民権(こうみんけん)の停止
一定期間、公職選挙法違反を犯した者に対して公民権(選挙権や被選挙権)の停止が科されることがあります。これにより、一定期間、選挙に参加する権利が制限されます。
立候補の取り消しや当選の無効
選挙法違反が候補者や当選者に関連する場合、立候補の取り消しや当選の無効が宣告されることがあります。これにより、候補者が選挙に参加できなくなったり、当選が無効となる場合があります。
これらの罰則は、選挙の公正性を保つために厳格に適用されます。公職選挙法違反は、民主主義の基本原則を守るために極めて重要な問題であり、違反行為への適切な処罰が求められます。
蓮舫さんについて、告示日前の選挙運動があったのでは?という点
今回の問題として指摘されている内容は、下記の動画でさている蓮舫さんの演説が公職選挙法に違反するのでは?という点です。
この演説が行われたのは告示日前なので、政治活動は認められていますが「選挙運動」となると公職選挙法違反となります。
政治についてYoutubeで情報発信する上念さんの動画が話題なのでご紹介します
動画の内容をまとめると、下記のような内容を演説でしていたということです。
蓮舫さん「七夕に予定されている東京都知事選挙に蓮舫が挑戦をします。みなさんのご支援どうかよろしくお願いします。」
立憲民主党枝野さん「みなさんで蓮舫さんを勝たせましょう。」
これは明確に選挙運動で、公職選挙法に違反しているのではと動画では指摘されています。が、担当する選挙管理委員会などしかるべき行政機関による発表はないので、冷静な判断が必要です。
また、今回、東京都知事選挙の出馬表明の人数の多いNHK党の党首、立花氏も動画をアップしており、「勝たせる」という表現や、埼玉県所沢市長が公職選挙法の事前運動の疑いで書類送検されたことについてお話していました。
書類送検されたのは所沢市の小野塚勝俊市長(52)で捜査関係者によりますと去年10月に行われた市長選挙で告示前に行った街頭演説で「市長選挙に絶対に勝ちます。皆さんのお力を頂きたい」などと投票を呼びかけたとして公職選挙法の事前運動の疑いが持たれています。
出典)首都圏 NHK WEB
指摘された内容 – SNS(X)より投稿
あわせて、元・衆議院議員秘書の藤江さんの投稿がよくみられているようで、こちらの投稿(X)をご紹介します。
政治活動とは、政治的な目標を達成するために行う様々な活動を指します。
「〇〇の選挙に立候補する〇〇に投票してください」といったような選挙運動に、今回の挑戦する・勝たせるといった表現が、同様の意味になるかというのが、ポイントとなるようです。
選挙活動ではなく政治活動はOK、問題ないのではの声も。
蓮舫さんは、現役の国会議員であり、今回もその政治活動であり、問題ないとの解釈もあります。
公式Xでのさまざまな反応
公職選挙法違反を発見したら報告する
公職選挙法違反の疑いがある場合、有権者等が報告する制度があります。報告先は下記の通りです。
- 選挙管理委員会:
- 各地域の選挙管理委員会が第一の報告先となります。市区町村や都道府県ごとに選挙管理委員会が設置されており、違反行為に関する情報や証拠を提供することができます。
- 警察:
- 選挙違反が犯罪行為に該当する場合は、警察に直接報告することも可能です。特に重大な違反行為については、警察が捜査を行い、必要に応じて検察に送致します。
- 検察庁:
- 公職選挙法違反が刑事事件として扱われる場合、検察庁に報告することもあります。検察は、選挙違反の捜査・起訴を行います。
公職選挙法違反の報告は、選挙の公正性を守るために重要です。違反が疑われる場合は、適切な機関に迅速に報告することが求められます。
今回の東京都知事選挙の場合は、東京都選挙管理委員会事務局が問い合わせ先となります。詳細は下記リンクを参照してください。
まとめ - 公職選挙法違反について、過去でも別で話題に
公職選挙法違反は、今回のの件に限らず、過去にも様々な違反について指摘されていました。過去の公職選挙法違反の事例には、買収や贈賄、不正な投票、虚偽の宣伝、選挙費用の違法な流用などが含まれます。
今回は現職の国会議員で知名度も高い蓮舫さんの公職選挙法違反疑惑ということで、どのような結果となるかで今後の公職選挙法のあり方にも注目が集まっています。
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